企業経営者が、法人名義で、裁判所が公示した不動産競売物件(一棟ビル)の取得をし、入居者全員に立ち退いてもらった上で、建物全部を自社で利用することを検討しました。
しかしながら、もし法人の名義で自ら落札した場合には、所有者(貸主)として、立ち退きを求めることになる、その物件を借りているさまざまな入居者とのやりとりが発生するため、できれば法人名義を入居者に知られないようにしたいと考えました。
そこで、企業経営者は、不動産競売専門会社に依頼し、その会社の名義で、その競売物件を取得してもらうことにしました。
その法人と不動産競売専門会社とは、入札前にその競売物件を落札した後の、取得に関わる各種税金や、入居者立退等の諸手数料を含めた売買金額での売買予約書類を締結しました。
その後、不動産競売専門会社は無事、その不動産競売物件を落札しました。
不動産競売専門会社が落札した後、全ての入居者の立退きを終えるまでの期間が数ヶ月かかることから、保全の意味で、企業経営者の依頼を受けた弁護士の請求で、落札した不動産競売専門会社の合意の上で、所有権移転請求権の仮登記を設定しました。